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 コントローラの離散化

設計したコントローラはデジタルコンピュータに実装される.そのときセンサの測定値は一定時間間隔ごとで離散化された値として得られ,制御入力も一定時間間隔ごとの値が計算される.離散化された制御入力は次の計算ステップまで一定値として制御対象に入力される.連続系の状態方程式で表現されたコントローラをデジタルコンピュータで厳密に計算することは不可能である.

デジタルコンピュータに実装したコントローラ


デジタルコンピュータに実装するコントローラの設計手法は以下の3つが考えられる.

[手法1] 連続系コントローラの離散化
センサ出力,コントローラの計算,制御入力すべてが連続に処理できることを仮定し,連続系のコントローラを設計する.設計された連続系のコントローラを0次ホールドなどの手法で差分方程式に直し,実装する.離散化して実装したときに連続系での性質は保障されない.

[手法2] デジタル制御
制御入力のホールドと出力のサンプリングを仮定し,システム全体を離散化モデルとして扱う.この離散化モデルに対して離散系のコントローラを設計する.サンプル点上でのふるまいは保障される.

[手法3] サンプル値制御
制御入力のホールドと出力のサンプリングを仮定するが,サンプル点間の挙動も考慮した離散形のコントローラを設計する.

離散化したコントローラの計算タイミングを示す.センサ出力のサンプリング,コントローラの計算,アクチュエータへの制御コマンドの出力の一連の計算を,サンプリング時間hごとに実行する.手法1〜3においては,この一連の計算は瞬時に行われることを仮定しているが,実際は時間がかかる.その遅れは性能や安定性へ影響を及ぼす.特にセンサなどの外部機器の測定値を読み取るプロセスは場合によっては多くの時間がかかりその長さも不定で,事前に正確に見積もることは困難である.

コントローラの計算タイミング


本ページでは以下の理由より[手法1]を採用する.

  • 連続系の設計理論はよく整理されており,参考文献も多い.
  • サンプリング周期は現場で変更する場合もあり,そのたびに設計手順を繰り返すのは煩雑である.
  • どの手法でも計算遅れは問題になるため,いずれにせよ設計段階での性能や安定性は保証されない.

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