6自由度非線形運動方程式
はじめに
この章では機体運動を解析するために必要な運動方程式について述べる.運動解析や制御系設計に直接必要な式のみを記述する.導出などの詳細は文献[Etkin],[McRuer],[McCormick],[加藤],[金井]などを参照されたい.
航空機の非線形運動方程式
機体に固定された座標を用いて機体運動を議論する.これを機体軸と呼び,重心に原点,進行方向にx軸,右翼方向にy軸,下方にz軸を定めた右手系である.
ここで重心の速度ベクトルVc,角速度ベクトルωの機体軸成分をそれぞれ(U,V,W),(P,Q,R)とする.
である.さらに迎え角α,横滑り角βを定義しておく.
また重力を除く外力の成分を(X,Y,Z),モーメントの成分を(L,M,N)とする.通常これらは機体に働く空気力とエンジン推力によって生じる.
地面に固定された慣性軸 と機体軸 のなす角は,オイラー角 で定義される.両者の原点を一致させると,
の関係が成り立つ.また慣性系の速度は,
で表される.ここで
である.さらにオイラー角と機体角速度の間には,
および,
の関係が成り立つ.xy平面に関して対称な剛体の6自由度運動方程式は以下で与えられる.
【非線形運動方程式】
慣性モーメント ,慣性乗積 は,
で定義される.