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ロータの空気力学

 ロータの空気力学


低レイノルズ数でのロータ推力計測

流体力学では,流れの性質を表す指標としてレイノルズ数が重要となります.
レイノルズ数は,流体現象のスケールを表す数字で,誤解を恐れず述べると,空気の粘り気が流れ場に影響する度合いを表しています.(専門的には,慣性力と粘性力の比を示しています.)
流体力学分野は,レイノルズ数領域ごとに研究が行われてきました.

我々が研究対象としている小型マルチロータ機の場合,レイノルズ数は10^4-10^5程度です.
有人航空機と比較して小さいため,低レイノルズ数領域と呼ばれています.

この領域では,有人航空機と比べて研究例が少ないため,
実験による評価が重要視されています.

本研究は,低レイノルズ数でのロータ性能を,実験的に明らかにします.
目的は,数値解析の妥当性評価や,機体設計時に参照できる実験データの蓄積です.


ロータ後流の可視化


マルチロータ機は,ロータが複数あることで,ロータ間で流れ場が相互に影響します.
そのため,マルチロータ機は,シングルロータのヘリコプタよりも,
ロータ直下の流れ場が複雑になります.特に機体が地面に近づくと,流れ場がより複雑に変化します.

この研究では,煙を用いてマルチロータ機周りの流れ場を実験的に解明します.
流れ場に影響する要素が多いため,実験的な分析結果の蓄積が重要です.


新しいマルチロータ機コンセプトの創出

2010年代以降,マルチロータ機が流行し,日常生活での活用が推進されています.
しかし,活躍の場面を広げようとすると,機体の安定性,運べる荷物の重さ,飛行距離など性能限界があり,利用できる場面が限られています.

本研究では,空力実験で得られた知見をもとにして,機体特性を改善します.
固定翼機と比べて先行例が少なく,機体が小さいので,我々のような研究室単位でも研究を行えることがこのテーマの魅力です.

新しい発想を実機に生かして,その手法の有効性を証明していきます.


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